第15話「男性が苦手な女」

夕方にやってきたその女性は、開口一番こう言った。

「私、結婚出来ますか?」

その声は、アニメの主人公のような可愛い声で、和彦は奥からそっと覗いてみた。女性の顔は、アイドルグループの一員と言われても信じてしまいそうなほどで、いかにもモテそうなのに、どうして結婚出来るかどうかを聞くのかと、和彦は不思議に思っていた。

「村田さやかさん、私と同い年の三十歳ですね。あなたのような可愛い人ならモテモテのように思えるんですが…」
「皆さんそう言うんですけど、私どうも、男性と話すのが苦手なんです……」

Sponsered Link



零美は彼女の命式をプリントアウトし、テーブルの上に置いた。

「ああ、なるほど…。さやかさんは、お父さんとの関係が良くなかったようですね」
「……はい。父とは、今でもうまく話が出来ません…」

「お父さんとお母さんのご夫婦仲はいかがですか?」
「父と母ですか。そうですねえ、性格が正反対っていうか…。父は無口でムスッとしていますし、母はおしゃべりでずっとしゃべりっぱなしです」

「お母さんは、さやかさんにお父さんに対する不満とかを話したりしますか?」
「はい、母は綺麗好きなんですが、父は服を脱ぎ散らかしたり、整理整頓が苦手だったりするので、しょっちゅう私に不満を漏らしています」

「そうだったんですね…。子どもにとってお父さんというのは、一番最初に出会う男性なんです。ですので、お父さんに抱くイメージが、男性に対するイメージになってしまうんですね。
そして、お父さんのイメージ作りに影響を与えているのがお母さんなんです。お父さんは仕事で家にいない事が多いですよね。ですから、子どもは母親との関係が密接なんです。

子どもたちは、お母さんを通してお父さんを知る事になります。お母さんにどのようにお父さんを紹介されるかで、お父さんを尊敬出来るようになるかどうかが変わってきます。

もしお父さんが、どうしようもない欠点だらけの男性だったとしても、お母さんが子どもたちに『お父さんは〇〇だけど、悪い所だけじゃないの。こういう良い所もあるのよ。お母さんは、そういうお父さんをとても尊敬しているの』と言い続けたらどうでしょうか?
客観的に見るとダメな人間だったとしても、お母さんからそうやって言われ続けた子どもたちは、きっとお父さんを大好きになりますよね。

ですから、お父さんとお母さんの仲が良いか悪いかっていうのは、子どもの人生に大きな影響を与えるのです。

よく、『お父さんみたいな人と結婚したい』って言う女性がいますよね。そういう人は、お父さんとお母さんの仲が良いというわけなんですね。最初に出会った男性であるお父さんのイメージが良かったので、男性に対するイメージが良いわけです。

それで、さやかさんはどうかと言うと…。残念ながら、お母さんからお父さんに対しての良い情報がもらえなかったっていうか…。それが男性に対するイメージとして固まっていったと思うんです」

「なるほど……。そうなんですね…。わかる気がします」

「これはね…。さやかさんのせいじゃないっていうか…。かと言って、お母さんも責められないと思うんですよ。お母さんのご両親、まあ、さやかさんのおじいちゃんおばあちゃんになるわけですが、そのお母さんのご両親の仲が良くなかったんじゃないかなって…。

これはもう、長年続いてきた悪い伝統というか、家系の悪い習慣性だと思うんです。だから、お母さん自身もそういう風に育てられてきたわけで…。人は、自分が育てられたようにしか子どもを育てる事が出来ないものなんですね」
「確かに…。祖父母の仲も良くなかったと聞いたような気がします。私は九州出身なんですが、九州は男尊女卑が激しいという感じですからね」

「お父さんの愛情というのは、お母さんを通して子どもたちに届くようになっています。だから、お父さんとお母さんの夫婦仲が悪かったら、お父さんの愛情は届かずに、お母さんからの愛情しか受けられません。
ですから、不足だった父親からの愛情を、今からでも受けないといけないんですね。

でも、さやかさんのお父さんとは、なかなかうまく接する事は出来ないんですものね!?」
「えっ? は、はい、そうですね…。なかなかそれは難しいです」

「ですよね。そういう場合は、身近に必ず、お父さんお母さんみたいな人がいるはずなんです。そういう人を神様が用意してるっていうか…。自分のことを、さやかさんの事を娘のように思ってくれる人が身近にいるはずなんですよ。

その人たちから、本来受けるはずだったお父さんお母さんの愛情を受けないといけないんですよ。
どうですか? そういう人、思い当たりませんか?」

「うーん、そうですねえ…。勤め先の会社の社長さんご夫婦が良い人たちで、とても良くしてもらっています。何かと気にしてもらっているっていうか…」
「社長さんのご夫婦仲はどうですか?」

「夫婦仲は良いと思いますよ。ああいう夫婦に憧れるって感じですね」
「それなら、社長さんご夫婦をお父さんお母さんと思って甘えたらどうですか? そして、実の両親から受けられなかった愛情をあらためて受けるようにしたらいいんです。

そうすると、きっと男性に対するイメージが変わると思いますよ。
社長さんは優しい方じゃないですか?」

「そうですね。とても優しくて気配りの方です」
「社長さんみたいな優しい男性が、さやかさんに合っていると思います。社長さん夫婦から娘として愛される事を通して、男性のイメージが変わっていくはずです。
そうすると、社長さんみたいな男性と出会うようになるはずなんです。

そして、その男性からまた娘のように愛される事を通して、実のお父さんに対するイメージが変わっていくと思います」

「わかりました。まずは社長さん夫婦を、お父さんお母さんだと思って接してみようと思います」
「がんばりましょうね。きっと良い男性との出会いがありますよ」

「ありがとうございました」

笑顔で帰っていく彼女の後姿を、零美は母親のような眼差しで見ていた。

『雨の中の女 神野 守 短編集 第1巻』amazonで販売中!

https://www.amazon.co.jp/dp/B07FYRKPL2/

Sponsered Link



投稿日:

執筆者:

以下からメールが送れます。↓
お気軽にメールをどうぞ!

こちらから無料メール鑑定申し込みができます。お気軽にどうぞ!
お申込みの際は、お名前・生年月日(生まれた時刻がわかる方は時刻も)・生まれた場所(東京都など)を明記してください。
ご自身のこと、または気になる方との相性などを簡単にポイント鑑定いたします。何が知りたいかを明記の上、上記までメールを送ってください。
更に詳しく知りたい方には有料メール鑑定(1件2000円)も出来ます。

最新の記事をツイッターでお知らせしています
神野守(@kamino_mamoru)





  • 96現在の記事:
  • 36181総閲覧数:
  • 154今日の閲覧数:
  • 268昨日の閲覧数:
  • 1567先週の閲覧数:
  • 6097月別閲覧数:
  • 17757総訪問者数:
  • 94今日の訪問者数:
  • 143昨日の訪問者数:
  • 923先週の訪問者数:
  • 2918月別訪問者数:
  • 118一日あたりの訪問者数:
  • 6現在オンライン中の人数:
  • 2018年8月14日カウント開始日: