第16話「親子ほど年齢差のある結婚をした息子の母」

その女性は憔悴しきっていた。身なりからして、和彦は五十代前半ぐらいかと思ったが、見るからに疲れ切った顔をしていて、悩みも深そうに見えた。

「お電話した佐伯かなえです。実は、長男の事が心配なんです……。本人は二十五歳なんですが、お嫁さんが十九歳上の四十四歳なんです。その人は離婚を二回していて、前の人たちとの子どもが四人、息子との間に一歳の子がいます。
それで、今ちょっと離婚の準備をしているところなんです。どうも彼女は、息子に内緒で借金があったみたいで…」
「わかりました。ちょっと待ってくださいね」

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零美は、息子とお嫁さんの命式をプリントアウトして持ってきた。

「まずは息子さんですが。かなり自我が強い方で、自信家です。自分が正しいと思っているところがあります。なかなか周囲の意見に耳を貸すってことは難しいかもですね」
「そうなんです。昔っから言う事聞かない子で…。親子ほども差のある人と結婚するのは反対したのですが、結局結婚してしまいました。それで、子どもも生まれてしまったので、しょうがないから認めていたのですが、お金にルーズってのがわかって、ようやく息子も離婚しようと思ったんです」

「いくら借金があるんですか?」
「三百万近くです」

「え――? それは結婚する前から、それとも結婚した後に作ったんですか?」
「結婚する前からのと、結婚したあとのもあるみたいです」

「そうなんですね。確かにこの女性はお金に関してルーズのようです。お金だけでなく、いろんな事にルーズだと言えるでしょう。息子さんからしてみたら、口うるさくないという点が楽だったかも知れませんが…」
「そうですねえ。片付けや掃除も好きじゃないというか…。私が時々行っては、片付けたり掃除をしたりしていたぐらいで…」

「借金問題はどうなったんですか?」
「実は、息子から相談を受けて、私たちが立て替える事にしました。息子は公務員なのですが、貯金はそんなにないんです。あのお嫁さんの経済観念がないのか、金遣いが荒かったのか、お金が残っていなかったんです」

「お嫁さんは、立て替えてもらったお金を返す事は出来そうなんですか?」
「いえ…。それは無理なので、期待していません。もう、手切れ金だと思っています」

「息子さんが別れたいって言ったんですか?」
「いえ、息子はまだ愛情があって、別れたくなかったようなんですが、私たちがお金を出す事を条件に別れるように言って説得しました。
息子の子どもは私たちが引き取って育てるつもりです。あの人もお金がないし、もう次の人を見つけているみたいで……」

「ええっ? 離婚した後に一緒になる男性って事ですか?」
「はい。そういう人なんです。最初の結婚の時も、離婚する前に次の人を見つけてて、息子の時も、まだ正式に別れてはいなかったようです」

「それは、息子さんと結婚する時は知らなかったんですか?」
「はい。知っていたら、絶対に結婚させませんでした」

「なんともすごい人ですね。そんなに美人なんですか?」
「いえ、息子と結婚した時から太っていましたが、今はさらにブクブクに太っています。息子はそういう女性がタイプのようで…」

「そういうお母さんでは、その人の子どもたちも可哀想ですね」
「はい。一番上のお姉ちゃんはもう結婚して子どもがいますから、息子からしてみたら孫がいたって事ですかね。下の子どもたちはこれからどうなるのか、他人事ながら心配です」

「でも、事件にならなくて良かったですね。そういう人って、お金目的で男性を次から次へとダマして、最悪な場合には殺される人もいますからね」
「息子が殺されなくて本当に良かったと思っています」

「息子さんはまだ二十五歳ですから、新しい人と再婚なさったらいいですよね」
「いつ頃になったら再婚出来そうですかね? 孫も小さいですから、早く再婚してもらいたいと思っているんです」

「そうですねえ。年回りを見ると、二、三年後には結婚しているかも知れません。息子さんは男性としての魅力がありますから、女性との出会いは困らないと思いますけどね。
息子さんは頭の良い方なので、今回の事で学習されたと思いますよ。今度はきっと、同じような女性は選ばないでしょう。
今度もし気になる方がいらっしゃれば、その方と息子さんの相性を調べさせてもらえませんか?」
「はい、その時はぜひお願いします。今日はどうもありがとうございました」

彼女が帰っていくのを見送り、和彦は奥から顔を出した。

「いやあ、しかし、その年上の奥さんって人は、もう新しい人を見つけているんだね。すごい人だねえ」

あきれたような顔の和彦に、零美は言葉を返した。

「世の中にはいろんな人がいるのね。その人はそんなに女性として魅力があるのかしら?」
「よくさ、年配の独身男性が結婚詐欺師みたいな女に引っかかるでしょ? さっきの息子さんは公務員って事で、お金があると思ったのかもね。
きっと口が上手いのかな。若いからコロッとダマされたのかも」

「次は良い人と出会って、今度こそ幸せになってもらいたいわね」

零美の言葉に和彦もうなずいていた。

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