引用:青空文庫 芥川龍之介「出来上った人――室生犀星氏――」
芥川龍之介先生の書いた随筆「出来上った人――室生犀星(むろうさいせい)氏――」について考えてみたいと思います。冒頭で「室生犀星はちゃんと出来上った人である」と書いています。「出会上がった人」とはどういう意味でしょうか? 芥川先生は、「出会上がった人」と言う意味は、簡単に言えば「一家を成した人」あるいは「何も他に待たずに生きられる人」と説明しています。
「一家を成す」と言う言葉を調べてみますと「親や主人などから独立して家庭をもつ」と言う意味と「学問や芸術などで権威となる。また、新しい流派を立てる」と言う意味があります。
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また「傍若無人に尻を据(す)えている」とも言っています。「傍若無人に尻を据(す)えている」とは、「人目を気にせず、勝手気ままに居座っている」と言う感じでしょうか? 「あの尻の据えかたは容易に出来るものではない」とも言っています。普通の人は、世間の目を気にして生きていますが、室生犀星は全く気にしないと言う事でしょうか。
「何も恐れるものがないと言う点ですこぶる強い」「世間に気を使う事もなく、気を使われたいとも思っていない」と言っています。こういう室生犀星を、芥川先生は感心しています。と言う事は「自分にはとても出来ない」と思っているのでしょうか。
以上の事から考えてみますと、それまでになかった新しい生き方、つまり「室生犀星と言う生き方を確立した」と言う事を言いたいのかなと思ったのですが、皆さんはどう思いますか?
ご意見、ご感想などがありましたら、お気軽にお伝えください。
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