改作・グリム童話「赤ずきん」

 ねえ、眠れないの? 困ったなあ。じゃあさ、眠くなるようにお話してあげるね。

 むかしむかし、あるところに、とっても可愛い女の子がいました。ある時、女の子のおばあさんが、赤いビロードの布で、ずきんを作ってくれました。それがとっても似合っていたので、みんな、「赤ずきん」と呼ぶ様になりました。

 ビロードの布って出てきたね。ビロードって言う言葉は、ポルトガル語やスペイン語から来ているらしい。ビロードとベルベットは同じものらしいんだけど、ベルベットは英語から来ているんだって。名探偵コナンに出てくるベルモットみたいな名前だね。

 ビロードは、十三世紀のイタリアが発祥で、イタリア語ではベルートになる。日本に来たのは約五百年前、南蛮渡来の品って事だろうね。柔らかな肌触りで深みのある色合いだって言うから、織田信長も愛用していたのかも知れないね。

 赤ずきんはある時、お母さんから「おばあちゃんが病気になったから、お見舞いに行ってあげて、ケーキとぶどう酒を持っていってね」って言われるんだけど、この時この子は何歳ぐらいだったんだろう? ある本では、お母さんが「森の狼に気をつけなさい」って言うんだけど、また違う本では、赤ずきんが狼の怖さを知らなかったってのもあるんだよね。

 まあ、たとえお母さんから「狼に気をつけなさい」って言われても、結局は狼に「おばあさんに花束を持っていったら喜ばれるよ」って言われた赤ずきんが、花を摘(つ)んでいる間におばあさんの家に先回りされちゃうんだけどね。

 狼といろいろと話しているうちに、おばあさんの家はどこにあるって事を狼に教えてしまうんだけど、赤ずきんを責めるのは可哀想なんだよね。狼は赤ずきんを見て「うまそうだ」と思って、おばあさんと赤ずきんの両方を食べてしまおうと思った。だけど、狼がそんな事するなんて赤ずきんには想像も出来なかったんだよ。

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 お母さんは用事があって一緒に行けなかったって言うんだけど、そしたら違う日に行けばいいって話にならない? 狼がいる森に幼い子どもを一人で行かせるなんて、どう考えてもお母さんが悪いに決まってるよね。これが、よくテレビでやってる「初めてのおつかい」だったら、途中でスタッフが見守っているから問題ないけどさ。

 その前に、狼が人間の言葉を喋(しゃべ)っている事に問題があるよね。もしかしたら、狼は比喩で、実は人間の男だったって事なのかな? 赤ずきんちゃんがあまりにも可愛らしかったから、いたずらしたかった……。なんて事は童話には書けないから、狼にするしかなかったのかも知れない。こっちの方が怖い話になっちゃうね。

 まあ、そんなこんなで、狼はおばあさんの家に行って「赤ずきんよ、ケーキとぶどう酒を持ってきたわ」って赤ずきんの真似をするんだよね。狼のすごいところは、人間の言葉を喋れるだけじゃなくて、小さい女の子のモノマネも出来るところなんだよね。

 そしておばあさんを食べちゃって、今度はおばあさんのモノマネをして赤ずきんをダマす。小さい女の子からおばあちゃんの声まで出来るなんて、なんて芸達者な狼なんだと思わない? これで腹話術まで出来たら、すごい人気者になると思うんだけど。サーカスに入団したら一躍大スターになりそうだよね。

 まあでも狼って、人間に媚(こ)びを売るようなやつには思えないしね。一匹狼って言うぐらいだから、森の中で、一人孤独に狩りをするのが性(しょう)に合っているんじゃないかな。「俺ってかっこいい」と思いながらね。

 狼が失敗したのは、赤ずきんを食べた後に、おばあさんの家で大きないびきをかいて寝ているところを、通りがかった漁師に見つかってしまった事。この漁師は、狼をずっと追いかけていたみたいだよね。だから、おばあさんまで食べてしまおうと思わないで、赤ずきんだけを食べてしまえば良かったんだよね。

 そう考えると、このお話の教訓は、あんまり欲をかいちゃいけないって事になるんじゃないかな? どう? 眠くなった? それは良かった。じゃあ、おやすみなさい。

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