改作・昔話「一寸法師」

 ねえ、眠れないの? 困ったなあ。じゃあさ、眠くなるように昔話してあげるね。

 むか~しむかし、ある村に、一人の男の子が生まれました。その子は、大人の小指ほどの大きさしかありませんでした。それでも両親は、その子を一寸法師と名付けて可愛がりましたが、何年経っても少しも大きくなりませんでした。

 この話の舞台は、摂津国(せっつのくに)の難波(なにわ)なんだってね。じゃあ、摂津国(せっつのくに)はどこかって言うと、今の大阪と兵庫の一部らしいね。この夫婦は、子どもがいなかったから、住吉の明神様(みょうじんさま)にお参りしていたらしい。

 じゃあ、明神様(みょうじんさま)って何だろうと思うよね? 日本の神々の中で、位(くらい)の高い神様って感じなんだろうね。まあ、住吉大社(すみよしたいしゃ)の事を言っているんだと思う。この両親は、「指ほどの小さな子どもでもいいから、子どもを授けてください」ってお祈りしていたんだって。

 その後まもなく、奥さんが妊娠をして、生まれてみたら本当に、指みたいに小さな男の子だったんだってさ。これもしかしたら、頼み方が良くなかったのかも知れないよね。3000グラムが普通だとして、2000グラムいかないと未熟児と呼ばれるらしいけど、指ほどのなんて言わずに未熟児でもいいですからって頼めば、もうちょっと大きかったんじゃないかなーって思うんだけど、どうだろう?

 でもまあ、この夫婦は「指ほどの大きさでもってお願いしたら、本当に指だけの子どもを明神様(みょうじんさま)が下さった」なんて、笑いながら言っていたらしいから、そんなに気にしない夫婦だったんだろうね。昔、乙武(おとたけ)さんの本を読んだ時に、生まれた乙武さんを見てお母さんが「まあ、なんて可愛らしい」と言ったそうだから、親にしてみれば生まれてくれただけで嬉しいんだよ。

 今だったら、妊婦健診の超音波検査なんかでわかるから、「お子さんは指くらいの大きさしかありませんね」なんて言われたらかなりショックを受けると思うんだけど、この頃はそんなのなかったから、かえって良かったのかも知れないよね。

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 そうしてこの子は、一寸法師と名付けられたわけなんだけど、どうやって育てたのか気にならない? だってさ、指くらいの大きさだったら、口なんかとっても小さいよね。お母さんのお乳を吸う事なんて出来ないんじゃないかな? まずはお母さんがおっぱいを搾乳(さくにゅう)して、お椀(わん)かなにかに入れて、それを何かですくって飲ませていたのかな?

 まあ、そんなこんなで大きくなっていくというか、いや体は大きくならないんだけど十六歳になって、突然、京都に行きたいと言い出すんだよね。今だったら、京都の人が大阪に行きたいと言うと思うんだけど、当時は京都が日本一の都だった。「京都で出世してきます」と言って京都を目指したわけ。

 一寸法師は母親から縫い針を一本もらって、刀みたいに腰に差して、お椀の船で淀川(よどがわ)を上(のぼ)っていくと言うんだけど、これはかなり無茶な話だと思わない? 箸(はし)を使って船を漕ぐらしいけど、箸のほうが一寸法師よりも大きいし、持てたのかなあと疑問に思っちゃう。

 たぶん、お父さんが持ちやすいように改良してくれたんだろうね。とりあえず、それを使って川を上(のぼ)っていくんだけど、まあ、朝ドラの「あさが来た」でも、京都から大阪にお嫁に行く時に川を使っていたから、これが一番良い方法なんだと思う。

 途中、風が吹いたり雨で水かさが増したりして大変だったらしいけど、一か月してようやく京都に着いたらしい。この一か月の間、彼はどうやって食料を調達したのかな? お母さんが出発する時にたくさん持たせてくれたのかな? でも、さすがに一か月も持たない気がするんだけど。

 だいたい彼は、お金を持てたんだろうかと疑問に思っちゃう。当時のお金と同じくらいの大きさだったとしたら、ちょっと持てない気がするし、お椀の船に積んだとしても、そんなにたくさん積んだら沈むだろうし、その辺の詳しい事情を知りたいと思わない? それとも、民家に忍びこんで気づかれないように盗み食いしていたのかな? 小さいってのは、こういう時に便利だよね。

 一寸法師はまず、大臣の屋敷を訪ねていって、そこで気に入られて、そこのお姫様と仲良くなって、鬼と出会って飲み込まれながらも鬼をやっつけて、鬼が忘れていった打ち出の小槌(こづち)を使って背が大きくなって、その後、出世してお姫様と結婚するって話なんだけどね。どう? 眠くなった? それは良かった。じゃあ、おやすみなさい。

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