改作・グリム童話「白雪姫」

 ねえ、眠れないの? 困ったなあ。じゃあさ、眠くなるようにお話してあげるね。

 白雪姫ってお話があるよね? ディズニーのアニメ映画でもよく観るもんね。ある国の女王が女の子を産んで、その子が雪のように体が白かったから白雪姫と名付けたんだよね。だけどその女王は、白雪姫を産んですぐに亡くなったんだって。それで、一年たってから王様は新しい女王と結婚するんだけど、白雪姫にとっては継母(ままはは)だよね。

 この継母(ままはは)は綺麗なんだけどプライドが高くて、自分が世界で一番綺麗だと思っている人なの。彼女が持っている魔法の鏡に「世界で一番美しいのは誰?」って聞くと、「それは女王様です」って答えるからいつも安心していたんだよね。

 この鏡は嘘を言わない鏡なんだって。まあ、鏡が喋(しゃべ)るって言うのもびっくりだけどね。白雪姫が七歳になると、女王よりも美しくなったみたいなんだよね。それで鏡に「世界で一番美しいのは誰?」って聞いたら「女王様が一番美しい。けれども、白雪姫は千倍も美しい」なんて言われちゃった。

 嘘を言わない鏡だから、本当の事を言っちゃったんだけどね。でも、この鏡のせいで、白雪姫は命を狙われる事になっちゃう。もし鏡が、この女王の性格までも把握していたら良かったんだけどね。いわゆる忖度(そんたく)だよね。忖度(そんたく)っていうのは、「他人の気持ちを推察する事」なんだけどね。

 鏡は人間じゃないから、そんな事まで期待出来ないよね。普通だったら、こんなひどい事を言う鏡を割っちゃいそうな気がするんだけど、この女王は割らなかった。狩人(かりゅうど)に、白雪姫を森に連れて行って殺せと命令するんだけど、狩人(かりゅうど)は殺さなかったんだよね。それで、森に残った白雪姫は七人の小人に出会って、彼らと一緒に暮らすようになるんだよ。

 白雪姫は死んだと思って安心していた女王が、再び鏡に「世界で一番美しいのは誰?」と聞くと、「それは白雪姫です」って答えた。ここで、女王は鏡を割っていない事がわかるよね。それで、白雪姫がまだ生きているってわかっちゃうんだけど、もし前の段階で鏡を割っていたら、白雪姫は再び狙われなくて済んだはずなんだけど、話を面白くするために割らなかったのかも知れないね。

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 狩人(かりゅうど)は、森の中に置き去りにすれば、どうせ森の野生動物に食べられてしまうだろうと思った。イノシシの心臓だか肝臓を持って帰って女王に見せて「確かにやりました」と報告するんだよね。でも結局、白雪姫は生きていたわけだから、女王に嘘をついた事になるよね。

 狩人(かりゅうど)としては、白雪姫を殺す事もなく、女王に罪を犯させる事もなかった。自分自身も殺人の実行犯にならずに済んで、みんなハッピーだったのに、鏡のせいで嘘がバレちゃった。女王は、鏡の言う事と狩人の言う事だったら、鏡の言う事を信じちゃったんだね。

 そして今度は、自ら白雪姫を殺すために出掛けていったんだよね。物売りに化けて紐(ひも)を売るふりをして白雪姫の首を締めちゃって、息が出来なくなって倒れた白雪姫を見て、今度こそ死んだかと思って帰っていったんだけど、その後に帰ってきた小人たちが助けてくれたんだよね。

 今度こそ、自分が世界一美しいと言われると思った女王は、また鏡に尋ねるんだけど、「白雪姫のほうが千倍美しい」とまた言われちゃう。正直なのは良いんだけど、正直すぎるお陰で、女王の人生も白雪姫の人生もとんでもない事になっちゃうって事に気づかないんだよね、この鏡は。

 それで女王は、今度こそはと、別のおばあさんの物売りに化けて、毒を仕込んだ櫛(くし)を売りに行くんだよね。白雪姫は小人たちに、誰も中に入れちゃだめだと言われているのに、櫛(くし)を見たら気に入っちゃってまた中に入れてしまうんだよ。こうなってくるともう、コントみたいな話だよね。と言うか、小人が七人もいるんだったら、白雪姫のボディーガード役を一人くらい残して行けば良いのにね。

 その櫛(くし)を買うって事になって「私が髪をといてあげましょう」って女王がその櫛(くし)を使うと、毒が回って白雪姫は倒れちゃった。今度こそはと喜びながらまた帰っていくんだよね。その後に小人が帰ってきて、毒の櫛(くし)を引き抜くと息を吹き返した。

 それでまた女王は、白雪姫が生きている事を鏡から聞かされちゃう。この辺りになってくるともう、鏡も半分楽しんでいるんじゃないかって思っちゃうよね。最終的には、思わず食べたくなっちゃう毒りんごを作って、それを食べた白雪姫はついに息絶えてしまい、鏡に聞いても「女王が一番美しい」と言われて、女王の長い長い闘いがようやく終わったんだけどね。

 その後、小人たちが帰ってきて、どうやっても生き返らない白雪姫を見て、三日三晩泣きはらしたんだって。そして白雪姫を土に埋めないでガラスの棺(ひつぎ)に入れておいたら、一人の王子が森に迷い込んできて、美しい白雪姫をお城に連れて行こうと家来に運ばせていると、家来が木の根っこに躓(つまず)いた拍子(ひょうし)に棺(ひつぎ)が揺れて、白雪姫の喉(のど)に引っかかっていた毒りんごの欠片(かけら)が飛び出したら白雪姫が生き返っちゃった。

 喜んだ王子は、白雪姫をお城に連れて帰って結婚する事になったんだけど、その披露宴に継母(ままはは)の女王も呼ばれて行く事になって、綺麗な着物を来て鏡の前に立って「世界で一番美しいのは誰?」と聞くと、「若い女王様があなたの千倍美しい」と言われちゃう。

 まさかその若い女王が白雪姫だと思わないから、どれほど美しいのかと見に行ってびっくりしちゃうんだよね。最終的には、その披露宴で真っ赤に焼けた鉄の靴を履(は)かされた女王は、死ぬまで踊らされたんだって。最後がさらっと恐ろしくまとめられているけどさ。どう? 眠くなった? それは良かった。じゃあ、おやすみなさい。

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