「キャンペーンガール」に応募した男性の理由が深い

起業コンサルタントの松尾さんが、男性なのに「キャンペーンガール」に応募したその理由が深いなあと思いました。

男の私がなぜ「キャンペーンガール」に応募したのか?…その深いワケ

2018.10.23 成功者は「少数派」にエントリーする
松尾 昭仁 起業コンサルタント・出版プロデューサー

10年後も「食える人」と「食えない人」の差はどこにあるのか? 『1万2000人を見てわかった! お金に困らない人、困る人』の著者で、これまで数々の起業家、士業、ビジネスパーソンに接してきた起業コンサルタントの松尾昭仁氏によれば、「食える人」は徹底して考え抜かれたビジネス戦略を持っているという。どう魅せるか、どう伝えるか、どう戦うか……ふだんは表に出ることのない「食える人」の戦略について、松尾氏に教えてもらった。

お客に「ストーリー」を語れ

私の友人が、店先に並んでいるハチミツの入った瓶をなにげなく見ていると、店員から声をかけられました。

「お客さん、スプーン1杯のハチミツは、ミツバチが一生のうちに出す蜜の量と同じなんですよ。だから、朝、このハチミツをひとさじ舐めれば、ミツバチの一生分のエネルギーを摂取するようなものだから、自然と力がわいてくるんです」

その友人は、もともとハチミツを食べる習慣はなく、特に好きでも嫌いでもなかったにもかかわらず、この話を聞いてハチミツの瓶を購入したそうです。

彼が心を動かされたのは、ハチミツという商品そのものではありません。ハチミツがもつ、前後のストーリーにひかれたのです。

お金に困らない人は、「過去→現在→未来」という時系列に沿ってストーリーを語り、商品・サービスの魅力を伝えます。

かつて『どっちの料理ショー』(読売テレビ・日本テレビ系)という番組があったのを覚えているでしょうか。毎回、選択に迷うような2種類の料理メニューを、贅沢をつくした素材で調理し、その勝敗を決めるバラエティーでした。

この番組のおもしろいところは、料理の素材にこだわる点にありました。

・漁師の親子が1週間かけてやっと釣り上げた幻の魚
・ビールを飲ませて、大切に育てた牛
・苦節20年、たび重なる品種改良の結果、たどりついた究極の野菜

このように感動ストーリーをもった食材が登場することによって、料理への期待感が高まっていきます。

しかし、これがごく普通の魚、牛肉、野菜だったらどうでしょうか。仮に同じ味だとしても、ありがたみも感動も覚えないはずです。食材の過去のストーリーがあるからこそ、未来にできあがる料理に期待感が高まりますし、実際においしく感じるのです。

人はストーリーにひかれて、モノを買います。

だから、お金に困らない人は、いつも商品を説明するときに、「過去→現在→未来」のストーリーを語ります。一方、お金に困る人は、スペックなどの「現在」ばかりを語りがちです。

たとえば、「保険」の営業マンに、「死亡時には5000万円が支払われ、入院時には……」とひたすら保険商品の「規格や仕様」を語られても、心は動かされません。

しかし、「妻との出会い、子どもの誕生といった過去の家族のイベントを振り返り、その幸せを将来にわたって守るためには、保険ほど心強いものはない」といったストーリーを語れば、魅力が伝わりやすくなります。

車の販売も同じです。時速300キロのスピードが出せることよりも、その車の開発秘話や車をもつことによって実現する家族の楽しい未来を語ったほうが、人は心を動かされるのです。
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「正直マーケティング」のすすめ

最近「訳あり商品」が人気です。訳あり商品とは、商品の機能性以外の理由により規格外となった商品のことで「見切り品」とも呼ばれます。

たとえば、せんべい。少し欠けてしまった商品は正規の価格200円では売れませんが、それを「訳あり商品」として100円で売ることはできます。メーカーからすれば破棄するはずの商品を売ることができ、消費者にとっても何ら味の変わらないせんべいを安価で購入できるのです。

ある食品関係の仕事をしている人に聞いた話ですが、最近はこのブームに便乗して意図的に「訳あり商品」をつくり、販売する会社まであるそうです。

では、なぜ訳あり商品が人気なのでしょうか。

もちろん、正規品よりもお買い得という理由もあるでしょう。しかし、それ以上に、あえて商品の欠点を公表している企業の姿に、消費者が信頼感を抱くからではないでしょうか。

「角が欠けているから」「少し傷がついているから」というように、値引きの理由をはっきり言ってもらえると、安心して買い物ができるのです。

反対に理由がはっきりしない値引きは、「本当は安い商品を今まで高く売っていたのでは?」と勘ぐってしまうものです。

当たり前の話ですが、人は騙されて損するのが嫌いです。買い物でもできるだけ失敗したくない。だから自分にとって不利なことをわざわざ公表する人や会社は、正直者として信頼されやすいのです。

お金に困らない人は、あえてデメリットを語り、相手の信用を獲得します。こうした手法を私は「正直マーケティング」と呼んでいます。

たとえば、靴の販売。本革の靴の購入を迷っているお客様に対してこのようなセールストークもできます。

販売員「お客様、この靴を履かれるお子様はおいくつですか?」
お客様「6歳の息子です。小学校の入学式に履かせる靴を探しているんです」
販売員「もし迷われているのであれば、こちらの合皮の靴もご検討されてはいかがですか?」
お客様「あら、合皮のほうが断然安いのね」
販売員「はい。お子様の足のサイズはすぐに大きくなりますし、入学式が終わってしまうと、この靴を履く機会がなかなかなくて、結局一度しか履かなかった、というケースもあるようですから」

販売員にとっては値段の高い革靴を販売したほうが利益は大きいはずですが、あえて価格の安い合皮靴をすすめる。すると、お客様は「私の利益を考えて接客してくれている」と販売員の言うことを信頼します。

お客様は、信用できる人から買いたいと思うものなので、その販売員から靴を購入する可能性は高まります。その後も「またあの店のあの人から買いたい」とリピーターになるでしょう。

お金に困る人はメリットばかりを強調し、不都合な情報を隠そうとします。一時的には売れるかもしれませんが、購入後に商品のマイナス面に気づいた顧客はリピーターになることはありません。

ブルーオーシャンで1位を目指せ

これは私が実際に体験した話です。

大学時代といえば、男性は女性にモテたい盛り。しかし30年前、私が当時在籍した大学の経営学部は圧倒的に男が多く、500人の学部生の中で女子はわずか30名程度。

このひと握りの女子に男子学生が殺到するのは自然の原理です。

もちろん、その中には洗練されたとてもキレイな人もいましたが、そうとも言えない普通の女子までもがチヤホヤされる現実を見て、私はこう考えたのです。

「それなら、逆に僕がこのような状況になるには、どこに行けばいいのだろうか」と。

そのとき、なにげなく見ていたアルバイト雑誌に「キャンペーンガール募集」の広告が……。「ここはキレイな女性ばかりいるのではないか?」「ここなら『逆・経営学部の女子状態』になれるかもしれない」とひらめき、履歴書を書いて迷わずエントリー。

「キミ! 女性の募集なのに、なぜ面接に来たの?」

いぶかしく尋ねる面接官に私はさわやかに、こう答えたのです。

「もしかしたら力仕事などの男手も必要かと思いまして……」

すると面接官の初老の男性は「キミ、面白いね~、いつから働ける?」と即、採用してくれたのです。

これで私はめでたく「逆・経営学部の女子」の立場となり、キレイな女性に囲まれた楽しいバイト生活を送ることができたのです。

男性を募集していないのに、いや募集をしていないからこそ、そこに目をつけるという選択(着眼)。それは「自ら少数派にエントリーする」ということです。

女性ばかりの中にポツンと男が混じれば、容姿にあまり自信がなくても、需要と供給のアンバランスによって目立つのは当たり前です。

昔から女子高や女子大では「若くて独身の男性教師」というだけでアイドル扱いされる、と聞きます。

それから私は「美人だからといって女優やモデルにはならないほうがいい」とも思っています。なぜならば、その世界は完全なレッドオーシャンだからです。つまり、ライバルが多い。

目立ちたい、男性から注目されたいという目的ならば、女性が圧倒的に少ない職種を選び、「美しすぎる○○」のポジションを得るという手法も有効です。実際に「美しすぎる議員」や「美しすぎる自衛隊員」などもかつて話題となりました。

自分の価値を最大化するためには、レベルの高いレッドオーシャンで勝負せず、あえてレベルの低いブルーオーシャンで1位になったほうが価値を生み、結果、お金に困らない人生を手に入れることができます。

レベルの高い場所に飛び込むことも大切ですが、ビジネス的な観点ではこのように勝てる場所で戦うという発想もありなのです。

[出典:男の私がなぜ「キャンペーンガール」に応募したのか?…その深いワケ(松尾 昭仁)(マネー現代 講談社 > https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57995 ]

「人はストーリーにひかれて、モノを買います。」この言葉にグッときました。
昨日見た、ドラフト会議の結果を待つ選手たちの家族の物語を知ると、その選手が好きになるし応援したくなります。
自分をいかに宣伝出来るかが大切なんだなと思いました。

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