映画監督・是枝裕和さん

フランスで新作を撮影中の是枝裕和監督のインタビューです。

映画監督・是枝裕和が語る、曲がらぬ信念

2018/12/30(日) 20:11配信

映画『万引き家族』で、第71回カンヌ国際映画祭の最優秀賞パルム・ドールを受賞した是枝裕和監督は、名実ともに日本を代表する映画監督となった。カメラを通して「世界を映す」映画作家は現在、パリで新作の撮影の真っ只中だ。

「パルム・ドール受賞で何かが変わるわけではない」

世界でもっとも権威ある映画祭のひとつで、日本映画としては5度目の最高賞を獲得した是枝裕和監督に、受賞から半年経ったいまの心境を訊くとこう返ってきた。

「ないです。もちろん大きな賞なので、これからのキャリアには大きく影響してくるでしょうが、パルム・ドールで何かが変わるわけではない。以前からのプロジェクトを一歩一歩進めている状況です」

穏やかな表情で淡々と言葉を紡いでいく。

「得なんだか損なんだか、嬉しくても悲しくてもあまり表情に出ないタイプなんです。監督としては得なのかもしれませんが。もちろん嬉しいですよ。カンヌは特別な時間でした」

5月末、パルム・ドールを受賞したあと、すぐには帰国せず、ニューヨークに飛んだ。現在、撮影中の新作『La Verite』[eにアクサン](ラ・ヴェリテ=真実 仮・仏題)の出演交渉のために俳優のイーサン・ホークのもとへ向かったのだ。

「『はじめまして』で始まるはずが、『受賞おめでとう! このタイミングだと断りにくいなぁ』と(イーサンが)笑ってくれたので、ああ、賞を獲ってよかったなと思いましたね」

「切実」であるということ

『万引き家族』は、万引きや年金詐欺などの犯罪を通してつながる偽装家族の「いびつ」な関係を描いている。「家族」という題材を通じて、現代日本の一隅で見過ごされがちな社会問題が浮き彫りにされた。実在の事件に着想を得た『誰も知らない』(2004)や監督自身が父親になったことで感じた「人はどのようにして親になるのか?」という問いを基軸に描いた『そして父になる』(2013)につながる「家族」をめぐる一連の是枝作品の真骨頂だ。

「今回は『誰も知らない』のときのように、テレビのドキュメンタリーのディレクターをしていた頃の意識や視点を持って、社会と家族の衝突や摩擦を描いた感じはありますね。最近はファミリードラマを手がけたり、家の中だけで展開する話を意識的に狭く深く掘りさげてきたりしたので、『万引き家族』はそこから離れて社会というものに視野を広げて作っていきました」

是枝のキャリアのスタートはテレビの制作会社だ。日々の生活で自分の心に引っかかったものにとことん向き 合うドキュメンタリー番組の演出を手がけた。自ら“原点”と位置付ける『しかし… 福祉切り捨ての時代に』(1991)は、生活保護の現状と問題点を突き出した。そして、是枝作品の最大の特徴は登場人物の誰ひとりにたいしても道徳的なジャッジをくださないことにある。

「映画監督が作家であるならば、作家の中から生まれてくる切実さを確認しながら映画を作っていくのが一番シンプルなスタイルだと思っています。その切実さは、いまという時代を生きる人間の切実さにつながっているはずですから、現在の社会問題にも同じ切実さで向き合うべきだと思います。きちんとした問題意識をもって生きていれば、自分の家の中の問題だけではなく、家の外で起こっている問題であっても、それを切実に描けなくてはいけないはずです。今回はそういうスタンスをきちんと見つめてみようと思ったのです」

50歳を過ぎてからは後進のことを考えるようになり、映画作りへの意識も変わっていったという。是枝組の現場は若い助手や助監督たちが自由に発言の場をもち、監督はその声に耳を傾ける。昔の映画作りのスタイル とは違っている。

「目指しているのは開かれた現場にすることです。助手も自分の意見が採用されると嬉しいんですよ。ぼくは監督・脚本・編集をすべてひとりでやるので、どんどん分からなくなっていくし、気づかなくなっていく。それが当たり前になっていくのです。だけど若い助手がふと漏らした感想や意見でちょっと立ち止まってみると変わるし、確実に良くなる。その経験は監督助手をしているスタッフにとっては大きな喜びとなるし、また、自分の意見でこんなに変わるとすれば、ちゃんと考えずに意見は言えないな、という状況に追い込まれもするわけです。そして、それは演出の勉強になるから大事なんですね。監督にとっても、そういうふうに作品を見てくれている人が現場にいることは大切なことです。来年は助手から監督にデビューする人材が育ったので、彼女たちが若い意欲のある作り手の刺激になってくれたらいいなとは思っています」

ドヌーヴはチャーミングです

現在パリを舞台に撮影中の『La Verite 』[eにアクサン]は、フランス映画のアイコン、カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎えたフランス映画界を支えてきた大女優の物語だ。ドヌーヴ演じる大女優の母親と、元女優志望の娘との確執が描かれるという。ドヌーヴとは映画について、演じることについて、本人と話し合いながら脚本を作っていった。

「彼女自身は役とはまったく違うと言っています。ドヌーヴという役者は語りたくなる人ですね。今日あったことを、“今日のドヌーヴがさあ”ってみんなに言いたくなるようなチャーミングで気さくな人柄なんです。老若男女、誰もが彼女を好きになってしまう。可愛くて無邪気で目が離せなくなる存在です。撮っていて面白いですね」

一方、ドヌーヴが公言する作品選びの基準は「脚本と監督。そして本質的に自分を驚かせること」だという。彼女の娘役を演じるのはジュリエット・ビノシュ、その夫役にイーサン・ホーク。いずれもクセの強い芸達者ぞろいだ。是枝映画は、役者たちとの日常的なやり取りを脚本に落とし込むことで知られるが、どんな豊かなセッションが生み出されるのだろうか。

是枝監督の映画の原体験は子供の頃、テレビで観る洋画劇場だった。そして大学に入学した後、学校には行かず名画座に入り浸っていた頃に見たフェリーニの『道』と『カリビアの夜』に衝撃を受ける。映画に「愛は映る」ことを知ったのだという。映画を撮り続ける原動力は何なのか?

「続けるための努力をしているわけではないけれど、続いちゃっているんですよね。趣味が仕事になっていて、映画は長く続いている趣味なんです。プライベートも仕事も一緒なので、周りにいる人は大変ですね。これでもパリでは遠慮していますが、日本にいるとプライベートでも映画を観るか、映画について考えるかのどちらかです」

パリでのオフの日について訊いた。

「編集しています。基本的に月曜から金曜までは撮影があって、土日が休み。日本では考えられないペースです。日本は午前6時スタートで終了が翌朝の28時と、スタッフが24時間労働になることもしばしば。だからこんなふうにきちんと土日を休む生活は、まだペースがつかめなくてね。日曜日は一応オフにしていますが、出不精なのでホテルの部屋でDVDを見たり本を読んだりするのが楽しいです」

根っからの映画人である。パリの宿泊先は映画の進行によって転々としていて、取材当時(10月27日)はモンパルナス墓地近くに滞在していた。

「近くにはクレープ屋さんが密集している通りがあって好きですね。ちょっとごみごみしていて落ち着きます。今年一番感動した味は“プルーガステル”(Plougastel)っていうガレット屋さんのデザートクレープです。塩バターに砂糖、それに自家製のホイップクリームがのっているだけですが、これが感動もので、もう5回くらい食べています」

2018年は新しいステップへと踏み出した年だった。

「日本の外で撮るというのが一番の転機だと思っています。フランスで撮った後、どうするかはまだ決めていないので、これからおそらくぼくにとっての“チャプター2”が始まるんだと思います。これは松岡茉優さんが使っていた言い方ですが(笑)。この転機がどのように転んでいくのか楽しみです」

私たちは是枝監督と役者たちが生み出すあらたな「生成の瞬間」に立ち合うことができそうだ。

HIROKAZU KORE-EDA

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、テレビ番組制作会社テレビマンユニオンに参加。14年に独立し、製作者集団「分福」を立ち上げる。95年に監督デビューした『幻の光』がヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。2004年の『誰も知らない』では、主演を演じた柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞。そのほかの作品に、『歩いても 歩いても』(2008)、『そして父になる』(2013)、『海街diary』(2015)など。18年、『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭で、パルム・ドールを受賞。現在、2019年公開予定の日仏合作映画『La Verite(仮・仏題)』をフランスで準備中。

文・魚住桜子

[出典:映画監督・是枝裕和が語る、曲がらぬ信念(GQ JAPAN)(Yahoo!ニュース > https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181230-00010003-gqjapan-bus_all ]
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そんな是枝裕和監督の四柱推命です。

是枝裕和監督(1962年6月6日生まれ)

年 壬寅 印綬 帝旺
月 丙午 傷官 長生
日 乙亥     死

大運 辛亥 偏官  死
流年 己亥 偏財  死

比肩星 木 ●●△
食傷星 火 ●●△
財星  土 
官星  金 
印星  水 ●●

是枝裕和監督の命式

是枝監督は乙亥日生まれで、乙は陰の木、亥は冬(11月)の水(陰)です。
「風雪に耐えて懸命に生きている草花」といった感じがします。

塚原光男さん、剛力彩芽さん、貴乃花光司さん、吉田輝星選手、南明奈さん、沢村一樹さんも乙亥日生まれです。
体操・塚原千恵子氏と塚原光男氏
女優・剛力彩芽さんとZOZOTOWN・前澤友作社長の相性
大相撲・貴乃花親方と元フジテレビアナウンサー花田景子さんの相性
野球・吉田輝星選手
よゐこ・濱口優さんとタレント・南明奈さんの相性
俳優・沢村一樹さん

是枝監督の乙は「乙女」「可憐な花」です。
月柱の傷官:長生が中心的な星となりますが、感受性豊かな芸術家だと言えます。
年柱の印綬と印綬傷官の形になり、さらには印綬を帝旺が強めていて、監督が作る映画にも文学性が表れています。

是枝監督の作品は、どこかフランス映画のようなイメージがあります。
パッと明るい色使いではなく、どこか淡い暗さが全体的に漂います。

そして、エンディングがはっきりとしないですよね。
ハッピーでもなく、アンハッピーでもない、観た人が自由に想像してくださいといった感じです。
そこが哲学的でもあり宗教的なのは、傷官の星がそうさせるのかなと思います。

年柱の印綬:帝旺は、先祖に学者や先生、あるいは宗教家などの「人を教え導く」人たちがいたのではないかと思わせます。
そのような家系的な背景から、映画を通して何か教訓を残したいという思いがあるのではないでしょうか。

官星に星がないことから、縛られたくない、自由でいたいという思いが強く、周りのスタッフに対しても抑圧的ではなく自由を推奨し、その人たちから学ぼうという謙虚さがあります。
そういうところが、多くの人に受け入れられる作品につながっている気がします。

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投稿日:2019年2月4日 更新日:

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