「やっぱり中絶はできない」と“特別養子縁組”を選択する女性

「やっぱり中絶はできない」と“特別養子縁組”を選択する女性の話です。

【マザーズ】“特別養子縁組”という選択 「中絶はできない」悩んだ末の選択

10/9(火) 14:00配信

 1年間の出生数が100万人を割り、少子化への急坂を転げ落ちている日本。一方で生後間もない0歳児が死亡する児童虐待や、育児放棄が相次ぐという矛盾を抱えています。

 予期しない妊娠で生まれてくる子どもたちを保護するため、「特別養子縁組」という制度が約30年前につくられました。生みの親から育ての親へとリレーされる小さな命。その決断の背景には、様々な葛藤や苦悩がありました。その当事者たちが描く、親子それぞれの“幸せ”とは…?

「やっぱり中絶はできない」予期しない妊娠に直面した女性

予期しない妊娠に直面したとき、あなたはどんな選択をするでしょうか。

 厚生労働省のデータによると、1年間に行われる人工妊娠中絶の件数は16万8015件(平成28年度)。「育てられない」多くの命がある、残酷な現状です。

 その一方で、「中絶はできない」と揺らぐ女性たちもいます。

 美沙さん(仮名)、23歳。同棲する彼との子を妊娠して7か月。2人は結婚するつもりはなく、一時は中絶も考えました。

 「彼からはもうおろして(中絶して)欲しいと何回も言われました。毎週お腹の赤ちゃんの写真を見るたびに、やっぱり中絶はできないと思って。無責任と言われたら反論はできないです」
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「育てられない」でも「産みたい」 母親の選択

 まもなく出産を迎える美沙さんは、愛知県名古屋市内の民間団体、ライフホープネットワークで暮らしていました。予期しない妊娠をした女性を支援する団体で、中絶か出産かで悩む女性たちから年間100件以上の相談が寄せられます。

 運営するのは、アメリカ人のキリスト教宣教師シンシアさんと、日本人のスタッフです。シンシアさんは話します。

 「まだ生まれていない赤ちゃんたちが一番弱いものでしょう?(赤ちゃんは)自分のために何もできないから、赤ちゃんを守る事が当たり前だと思う」

 妊娠した子を中絶するか、産むか。悩んだ末、美沙さんは“特別養子縁組”という制度を知り、産むことを選択しました。

“特別養子縁組”という選択

 何らかの理由で、親が育てることができない子どもはどうなるのか。これまで日本では子どもを、乳児院や児童養護施設へ預け、施設で育てる事が重視されてきました。しかし、施設から“里親”などの家庭へ引き取られる子どもは、全体のわずか18.3%(平成28年度)となっています。

 一方、民間団体や児童相談所では、母親の妊娠中から相談を受け、新生児を「特別養子縁組」という制度で、子どもを育てたい夫婦に託しています。

 「特別養子縁組」は「普通養子縁組」と違い、生みの親との血縁を断絶し、養子であっても戸籍上に「実の子」として記載されるのが特徴です。子どもが6歳未満(※1)の場合に限り、「育ての親」が法的な「実の親」となるのです。

 虐待や育児放棄による事件が多い現代。専門家は、長期間施設で暮らしている子どもや、虐待されたまま家庭にいる子どもを、少しでも減らすことができると、特別養子縁組の意義を指摘します。

(※1)平成30年9月現在、6歳未満から年齢を引き上げる議論が行われている。

出産のとき “待っている人がいる”安心感

 最初の取材から数ヶ月後、美沙さんの陣痛がはじまりました。
 
「生まれてくる赤ちゃんを、養子として待っている人がいる。それだけで、精神的に安定した状態で出産を迎える事ができる」。美沙さんを病院へ送る車の中で、シンシアさんはそう話しました。

 病院に入ってから5時間。病室から、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきました。生まれたのは、3080グラムの元気な女の子です。

 新しい命と対面した美沙さん。素直な感情がこぼれます。

 「かわいい…」

訪れた“別れ”

 出産から1週間。美沙さんと赤ちゃんは無事に退院しました。

 しかし、赤ちゃんはその日のうちに引き取られる事になっていました。新しい両親のもとへつなぐのは、シンシアさん達と協力関係にある、特別養子縁組をあっせんする民間団体です。

 トラブルを避けるために用意された数多くの書類にサインする美沙さん。特別養子縁組は最終的に、家庭裁判所によって審判されます。

民間団体の職員は美沙さんに、赤ちゃんとの今後について、あらためて説明していきます。美沙さんが産んだ赤ちゃんは、育ての親に託され、育ての親の「実の子」になるということ。家庭裁判所の審判が確定した時には、美沙さんと赤ちゃんとの親子関係は消滅する、ということ――。

 自分が産んだ赤ちゃんとの親子関係が消滅する。産むことを決めてから、ずっと理解していたはずの事実。しかし、実際にそのときを迎えると、自然と涙があふれ出します。

 「抱っこしたい」

 最後に許された2人だけの時間。美沙さんは赤ちゃんの顔をじっと見つめ、小さな体を抱き続けました。

そして、ついに訪れた別れのとき――。

 美沙さんは笑顔で、赤ちゃんを送り出しました。赤ちゃんがどんな夫婦に託されるのか、美沙さんには知らされていません。
 
 笑顔だった美沙さんですが、赤ちゃんが去った後、泣きくずれました。

 お腹を痛めたわが子を、養子として人に託すという選択。美沙さんはその後、こう話していました。

 「私は命しか守れなかったけど、これから新しいお父さんお母さん家族に守ってもらいたいです」

連載「マザーズ」

 この記事は中京テレビ報道局とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。中京テレビ報道局が2011年から7年にわたり特別養子縁組を取材・放送してきた、ドキュメンタリー「マザーズ」をベースに構成しています。予期しない妊娠に悩む生みの親から、育ての親へとリレーされる小さな命。その当事者たちが描く、親子それぞれの「幸せ」を追いました。

[出典:【マザーズ】“特別養子縁組”という選択 「中絶はできない」悩んだ末の選択(中京テレビNEWS)(Yahoo!ニュース > https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181009-00010006-sp_ctv-soci ]

様々な事情で、産んでも育てられない人たちはいらっしゃいます。
また、子どもが欲しいのに授かることができない夫婦もいらっしゃいます。
中絶を考えている人たちが、この“特別養子縁組”という選択もあることを、もっと知ってほしいです。

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