芥川龍之介 小説 独自解釈「身のまはり」

引用:青空文庫 芥川龍之介「身のまはり」

 芥川龍之介先生の書いた随筆「身のまはり」について考えてみたいと思います。これは、題名にある通り、先生の身の回りにある物について書いています。

 一は、机です。これは、夏目漱石先生の奥さんから結婚祝いとしていただいた物です。机の寸法は、縦3尺、横4尺、高さ1尺5寸位です。板の合わせ目に少し狂いがあるようですが、10年近く使っていて手放すには惜しいと考えています。

 芥川先生は、中学時代の同級生・山本喜誉司の姪になる文と結婚しました。大学卒業後、一枚の原稿料が40銭でした。生活のために海軍機関学校の教官になり、ひと月60円の給料をもらいました。昼は学校で教え、夜は小説を書く日々。1年後には、月給が100円になり、原稿料は1枚2円になりました。これでなんとか生活できると思い、結婚したのです。机を見るたびに、過ぎた過去を思い出して懐かしくなるのでしょうね。

 二は、硯屏(けんびょう)です。硯屏と言いますのは、硯(すずり)のそばに立てて、ちりやほこりなどを防ぐ小さな衝立(ついたて)の事です。これは、芥川先生が友人の室生犀星(むろう・さいせい)に言われて買ったものです。この話は「野人生計事(やじん・せいけいの事)」にも書かれています。

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 骨董屋に「売らずに置いといてくれ」と頼んだ室生犀星が芥川先生に「2,3日のうちに買ってきなさい。もし行く暇(ひま)がないなら、誰か使いにでもやりなさい」と言って強引に買わせたものです。まるで買うのが義務かのように思ったそうですが、言う通りに買った事は後悔していないようです。硯屏は15円でした。この頃の1円は、今の4000円から5000円になります。

 三は、ペン皿です。ペン皿とは、ペンの様な筆記具などを寝かせて収納する皿状の文具の事で、ペントレーとも言います。夏目漱石先生が、ペン皿の代わりに煎茶の茶葉をすくう茶さじを使っていました。それを真似て芥川先生もやってみたそうです。夏目先生のペン皿は竹でした。なんかオシャレですね。

 四は、火鉢です。結婚した時に5円で買ったものです。値段よりも引き出しなどが上等に出来ていたようです。この頃は鎌倉の辻と言うところに住んでいました。八畳が二部屋、六畳が一部屋、四畳半が二部屋、それに風呂と台所がついて家賃は18円もしませんでした。その四畳半に小さい長火鉢を置いて平穏無事に暮らしていましたが、関東大震災のためにもう跡形もなくなってしまっただろう、と書いています。

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投稿日:2021年12月20日 更新日:

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