芥川龍之介 小説 独自解釈「創作」

引用:青空文庫 芥川龍之介「創作」

 芥川龍之介先生の書いた小説「創作」について考えてみたいと思います。このお話は、一人語りの一人称小説となっています。芥川先生本人と言うよりも、ご自身と同じ小説家という設定の主人公のようです。大正5年8月となっていますから、東京大学を卒業した年に書かれたものでしょう。この年の12月1日から海軍機関学校の英語の教官を始めていますが、この話を書いている時にどこかに勤めていたのかどうかはわかりません。

 主人公は「小説を書け」と言われますが「職業に追われてペンをとる暇(ひま)がない」と言っています。そのため、自分のアイディアを友だちの小説家に話し、その人がそれを小説にします。そのように提供した小説が、10から20くらいはあると言います。もちろん、有名な小説家の名前で出すわけですが、アイディアのほとんどは自分の創作だと言いたいわけです。

 頭の中で想像した事を本当らしく話すと、10日もしないうちに小説になる。それは自分が小説を書いたのも同じ事。本当らしく見せるために、自分が小説の主人公になる事もある。あるいは、友だちの夫婦関係を参考にさせてもらう事もある。だけど、モデルになった彼ら自身は、小説の話のような事はしていない。シリアスな事になればなる程、モデルの名前は出さない。

 その小説が活字になり、原稿料をもらうと、作家は彼を呼んで一杯やろうと言うようになる。本当なら彼の方が作家に礼をすべきなのに、相手が嬉しがるから、したいようにさせておく。「ところがこの間、弱った事があった」と言い、それは次のような話です。

 Kを小説の主人公にして、芸者に関係している事にしたら面白いだろうと思って、そう言う男女の恋愛話を創作した。すると、その小説が出て5,6日すると、Kが彼の所へやって来て文句を言う。「あれは君の事を書いたのではない」と言っても承知しない。何故自分がモデルだと言う事がわかったと聞くと、実際Kは隠れて芸者遊びをしていた。それも、たくさんの相手と関係を持っていた。仕方がないからKに謝罪した。これによって、彼のする話が嘘ではないと小説家仲間が確信するようになった。

 また、Mが他人の奥さんに恋していると言う話を創作した。肉体関係はなしに綺麗な交際をしていると言う感じで。それ以来、小説家仲間たちはMを尊敬するようになった。しかし実際のMは、誘惑に負けやすく男らしくない。というように、実際の友人をモデルにしているけれど、現実の本人と物語に登場する人物とが違うというのはよくある話です。

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 何もないところから作りだすのが創作なわけですが、それは簡単ではありません。小説だけでなく、歌や絵などの芸術作品は、既にある作品を盗作してはいけないのは当たり前ですが、見たり聞いたりするうちに、知らず知らずのうちに似てしまうと言いますか、影響を受けてしまうのは仕方がないと思います。

 例えば、好きな作家の作品を読んでいるうちに、自然と文体や表現方法が似てしまう事はよくあるでしょう。しかしそれは盗作になるのでしょうか? また、モネやゴッホが日本の浮世絵に影響を受けて「睡蓮(すいれん)」や「ひまわり」といった傑作を生みだしていますが、それが盗作になるのでしょうか?

 私も小説を書く時など、今までに出会った人を思い浮かべてキャラクターを考えたりします。また、知人友人から聞いたエピソードなどを参考にさせてもらう事もあります。しかしそれは悪意を持ってする事はありません。私だけでなく、他の方も当然そうだと思います。

 芸術は難しく、創作活動は容易ではありません。だからこそ価値があり、人の心を動かす事が出来るのだと思います。皆さんはどう思いますか?

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投稿日:2021年12月13日 更新日:

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