ヌーヴォーとヴィンテージ〜カナ&ショウタ✴︎ season3-1

 「ショウタ。今晩何食べたい?」
 「……………」

 返事がない。もしかして寝てる? なんだ、起きてるじゃない(笑)

 どこか上の空で、TV画面を見つめている。今度はワザと顔をのぞき込むようにして、声をかけてみる。

 「ショ〜タくんっ。どおしますか?」
 「……えっ?寒くないですよ。大丈夫デス♪」
 「それは良かった♪」

 やっぱり聞いてなかったねwww

 なんだか最近ソワソワして落ち着きがない。会社で何かあった様子もないし、体調も大丈夫そぉよね。あっ!そっか。もうすぐ解禁だ♪

 ショウタは赤ワインが大好きで知識も豊富だから、この時期「オススメのボジョレーを選んでほしい」と頼まれることが多くなるみたい。

 「ねぇ、そんなに赤ワインばかりじゃ飽きない?」
 「赤でもいろいろあるんですよ。コレは【ライト】なので軽くて飲みやすいんです。どぉです?」

 赤ワインは渋くて酸味も強いからニガテ。

 「ありがと。でもいいや……。あたしは少し甘めな【白】が好きだから。」

 残念ながら白ワインのボジョレーは見たことがない……。ボジョレー・ヌーヴォー解禁まで、あと七日後に迫ったある日……。

 「ねぇショウタくん。今日はどぉ?」
 「もちろんいいよ♪早く上がれそぉ?」
 「うん、大丈夫♪ きっとさ、今年もいろんなタイプが出るよね。迷っちゃうな。」
 「ぶどうの種類や生産者によっても味が違うからね。当日は一緒に美味しいの探そ。」

 あの声は……。ショウタと、カレの同期のミサキだ。今年のボジョレーの話でもしてるのだろうか。カノジョは何でも器用にこなすし、仕事を覚えるのも早い。楽しそぉに話す二人の姿をみていると、遠い日の記憶が蘇る。あの頃は、仕事も恋愛も何もかもが順調で幸せだった。当時、同じ部署で課長だった小鳥遊(たかなし)リョウと付き合って三年目。結婚を意識するようになっていた。

 「カナ君。今年も忘年会にマスターの店借りるから連絡しといてくれるか?」
 「28日の19時に10名で予約しておきましたけど、よろしいですか? 変更がある場合は、25日までにお願いします。」
 「あいかわらず仕事が早いな。ありがとう。」

 忘年会当日。仕事納めで明日から休みのせいか、みんないつも以上に盛り上がっている。

 「お酒足りるかしら?ちょっとマスターにおねがいしておこう。」

 指示されたわけではないが、リョウの言いそぉなことはわかる。二人のあうんの呼吸がみんなを笑顔にしている。それだけでうれしくなる。ちょっと飲み過ぎたかも…。お酒の席を離れマスターと他愛もない話をしていると、酔いの回った甘えた声が聞こえてきた。

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 「たかなし課長!ご結婚おめでとーございますっ。仕事も出来てイケメンの旦那さん、いいな♪」

 課長が結婚ね。……結婚!? 一気に酔いが覚めた。

 「……。リョウ、結婚するんだって。 あたし……初めて聞いたよ。」

 マスターは二人が付き合ってることを知ってる。

 「……結婚か。……良かったじゃない。ぅんぅん!おめでたい……」

 私の大好きなウィスキーのロックをそっと置くマスター。酔いが全身に染み渡る。……ありがと……。さりげない優しさが嬉しかった。

 年明け。仕事始め。

「課長、あけましておめでとうございます。そして、ご結婚もおめでとうございます。奥さん大事にしてくださいね!お幸せに……」

 涙をこらえながら、急いでカレのそばを離れた。何か言いかけていたが、話を聞けるほど強くない。おめでとうを伝えるだけで精一杯だった。お相手は専務のお嬢さんらしい。この年わたしは仕事に没頭し、カレは本社へ栄転となった。あんなに人を愛し、愛されたのは初めてだった…。それだけにショックが大きく、しばらく恋から遠ざかっていた。リョウ、今ごろどうしてるかな……。

 「あの……せんぱい?……。カ、カナ先輩?」
 「え! あ、ゴメン。何?」

 ミサキの声で現実に戻された。

 「実は……相談したいことがあるんです。」

 カノジョとは仕事以外でも、ランチしたり買い物したり、姉妹のように気心が知れている仲だ。あらたまってどぉしたのだろ……。

 マスターのお店で飲むことにした。わたしは白ワイン。ミサキは赤ワイン。二人とも自分の限度を心得ているから、決して酔い潰れることはない。お酒を飲みながら女ふたりでする話。なんとなく想像はつく。

 「カナさん、ショウタくんと仲良いですよね? で……」

 まさか、ショウタだったとは…。思いもよらなかった。一見頼りなさそうに見えるがなんでも器用にこなし、困ってる人を放っておかない。そんな姿に魅力を感じるんだろう。彼女はいるのか、休みの日は何をしてるのか、いろいろ気になるらしい。

 「どぉなんだろーね。聞いてみたら?」

 ウソはイヤだが、仕事の関係上やはり言えない。

 「そぉします。憧れのカナさんに応援してもらえると、とても心強いです!」

 まっすぐな瞳でわたしを見つめる。なんとなくショウタに似てるのよねwww

 うれしそうにカレのことを話すミサキ。あたしより何倍も可愛らしく女性らしいカノジョ。こんなコが、カレにはお似合いなのかも知れない……。

前半 〜fin〜.

後半 ヌーヴォーとヴィンテージ〜カナ&ショウタ✴︎ season3-2

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投稿日:2021年11月11日 更新日:

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