改作・昔話「鶴の恩返し」

 ねえ、眠れないの? 心配事でもあるのかな。困ったね。じゃあさ、眠くなるように昔話してあげるね。

 むかしむかし、貧しいけれど心の優しい、おじいさんとおばあさんがいました。へー、貧しいけれど心の優しいって、すごいね。普通さ、貧しかったら、心も荒(すさ)んでくるよね。「同情するなら金をくれ!」って、ドラマ「家なき子」で、安達祐実さんが言ってたもんね。

 安達祐実さんと言えば、奇跡の三十八歳と言われるくらい、今でも綺麗だもんね。子どもも二人産んでいるんだって。すごいね。今の旦那さんと結婚する前は、スピードワゴンの井戸田潤さんと結婚してたよね。離婚の原因はなんだっけ?

 井戸田さんは、理由は未だにわからないなんて言ってるみたいだけど、ネットでは井戸田さんの浮気が原因じゃないかって出てるよね。ネットの情報はフェイクが多いから、何が本当なのかはわからないけど、火のない所に煙は立たぬって言うしね。

 ところで、このおじいさんとおばあさんの夫婦仲はどうなんだろうね? 「貧しいけれど心の優しい」という情報しかないからわからないけど、貧乏ってのは辛いよね。おばあさんにしてみれば、おじいさんの稼ぎが少ないって不満があるだろうし、おじいさんにしてみれば、パートにでも行って働いてくれと思っていたかも。

 でも、この時代のパートって何だろう? コンビニとかスーパーがあるわけじゃないしね。よその畑の手伝いに行くのかなあ。あるいは、庄屋さんところの孫の子守りとかかもね。実はその庄屋さんが、おばあさんの事を昔から好きだったなんて事も考えられるんじゃない?

 庄屋さんはきっと、親の決めた結婚をしたんだろうね。だってさ、貧しい農家の娘さんとじゃ、親が許してくれないだろうからね。このおばあさん、なんとか小町(こまち)って言われるくらい、綺麗な人だったんじゃないかな。だからきっと、庄屋さんにとっては初恋の人だったんだよ。

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 でも、庄屋さんの親は、隣村のお金持ちの家からお嫁さんをもらうって決めてたんだろうね。だから泣く泣く、おばあさんを諦めた……。もしかしたら、おばあさんの初恋の相手も、実は庄屋さんだったとしたらどうする? 二人は泣く泣く、別れたんだよ、きっと。

 明日は結婚式って時に、庄屋さんはおばあさんを呼び出したんじゃないかな? ちょっと離れた裏山に。そこで、大きな木にもたれかかるおばあさんに壁ドンをして、まあ、この場合は木ドンになるけど。夕暮れ時、綺麗な夕焼けが二人を染めるんだよね。なんかロマンチックじゃない?

 そして、しばらく見つめ合った後、おばあさんが目をつむると、庄屋さんはおばあさんに、優しくキスをしてあげたんじゃないかな。まあ、この時代の人は、濃厚なキスじゃないよね。遠慮がちにそっとしてあげたんだと思うよ。この時代と言っても、いつの時代なのかはよくわかんないけど。

 それで、その二人の様子を離れたところから見ていた人がいたわけ。それが誰だと思う? そう、正解! それがおじいさんだったんだよね。おじいさんはおばあさんに片想いしていたんだよ。実らぬ恋だと諦めていたんだけど、庄屋さんに許嫁(いいなずけ)がいたって知って、がぜんやる気が出てきたってわけ。

 庄屋さんと別れて、傷心のおばあさんに近づくおじいさん。この頃は、洒落たバーなんかないだろうから、どっか行きつけの、お酒を飲ませてくれるお店に行ったんだろうね。そこでおばあさんに優しく寄り添いながら、少しずつ距離を縮めていったんだよ。

 この辺は、ただの優しい男って感じじゃないと思うんだよね。計算高いって言うか、顔はニコニコしながら、心の中ではドロドロしたものが渦巻いていたんじゃないかな。でもさ、そういうほうが人間らしくていいと思わない? 「実は私、下衆(げす)な人間なんです」って言うほうが、正直で好感持てるよね。

 まあ、そんなおじいさんが山で鶴を助けて、その鶴が恩返しに来るって話なんだけど。どう? 眠くなった? それは良かった。じゃあ、おやすみなさい。

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