芥川龍之介 小説 独自解釈「しるこ」

引用:青空文庫 芥川龍之介「しるこ」

 芥川龍之介先生の書いた随筆「しるこ」について考えてみたいと思います。冒頭に「久保田万太郎君の「しるこ」のことを書いているのを見(み)、僕もまた「しるこ」のことを書いて見たい欲望を感じた」と書いています。久保田万太郎君とは、芥川先生の東京府立第三中学校での一学年先輩になります。久保田万太郎は「甘いものゝ話」の中でこう書いています。

 “最近の若い人たちは汁粉(しるこ)を「飲む」と言うが、汁粉は「食う」あるいは「食べる」ものであって、決して「飲む」ものではない。”

 そのように新時代の人々を批判した久保田万太郎でしたが、彼らの行動を研究してみた結果、こう気づきました。

 “それらの人々は、汁粉の「汁」を一気に流し込んでから、「餅」に箸をつける。彼らにとっては「餅」が主体ではなく、「汁」を飲む事で目的の大半は達成する”のだと。

 久保田万太郎はこの発見を、芥川先生と汁粉でも食べながら話したのではないでしょうか。

 関東大震災以降、東京では「汁粉屋らしい汁粉屋」をあまり見なくなった代わりに、「珈琲(コーヒー)を飲ませるカフェ」が増えていきました。それを芥川先生はこう嘆いています。

 “僕らはもう広小路(ひろこうじ)の「常盤(ときわ)」にあの椀(わん)になみなみと盛った「おきな」を味わうことは出来ない。”と。

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 芥川先生は下戸(げこ)で、お酒をあまり飲まなかったからこそ汁粉が好きだったんですね。自分と同じ下戸にとって汁粉屋がないのは損失であり、東京のためにも損失だと言っています。

 西洋料理や中華料理に匹敵するほどに、東京の汁粉を誇らしく思っています。西洋の人たちに汁粉を食べさせてみたら「麻雀のように世界中に広がるかも知れない」と言っています。彼らが天ぷらを愛するように汁粉も愛するかどうかはわからないが、勧めてみる価値はあるに違いないと。芥川先生はこの話を書きながら、こんなイメージを膨らませています。

 “ニューヨークのクラブで、西洋人の男女が7,8人でひと椀の汁粉をすすりながら、チャップリンの離婚問題を話しているのでないか。あるいは、パリのカフェで、西洋人の画家がひと椀の汁粉をすすりながら……。”

 こんな事を考えている自分は暇人(ひまじん)だなあ、なんて笑っています。

 “もしかしたらあの逞(たくま)しいムッソリーニが、ひと椀の汁粉をすすりながら天下の大勢(たいせい)を考えているかも知れない。”

 と言うイメージを膨らませながら、芥川先生は一人でにやにやしていたのでしょうね。

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