芥川龍之介先生の書いた随筆「剛才人(ごうさいじん)と柔才人(じゅうさいじん)と」について考えてみたいと思います。この文章は「佐佐木君は剛才人、小島君は柔才人、兎に角どちらも才人です」という書き出しで始まります。佐佐木君とは佐佐木茂索(ささき・もさく)、小島君とは小島政二郎(こじま・まさじろう)の事だと思います。
才人の意味は「頭が良く才能のある人」でしょうか。その才人に「剛」と「柔」という言葉をつけています。「剛」は「硬くて強い」イメージがありますし、「柔」は「柔らかく大人しい」イメージがあります。プラスとマイナス、陽と陰、外交的と内向的、積極的と消極的、ポジティブとネガティブなど、いろいろ当てはめられると思います。
Sponsered Link
佐佐木君が歩いていた時、ぶつかってきた男に対して「剣突(けんつく)を食わせた」と言っています。「剣突を食わせる」とは、荒々しくりつける事を言います。ぶつけられて自分は悪くないのに謝る人もいますが、この人の場合は強い口調で言うわけですから、柔よりも剛になりますね。 一方の小島君の場合は、ケンカするなんて想像も出来ないと言っています。
この文章は、神奈川県の湯河原にて病気療養をしていた時に書かれたものです。芥川先生を励まそうとしていろいろな話をしている様子が想像できます。病気で気持ちが落ち込んでいる中、こうして仲間に支えられながら創作活動をしていたんだなあとしみじみ思いました。
ご意見、ご感想などがありましたら、お気軽にお伝えください。
story@kaminomamoru.com
『心霊鑑定士 加賀美零美 第1巻 Kindle版』amazonで販売中!
『雨の中の女 神野 守 短編集 第1巻』amazonで販売中!
https://www.amazon.co.jp/dp/B07FYRKPL2/
Sponsered Link