「 短編 」 一覧

新説・カチカチ山

2019/05/11   -短編
 

 熱かった! あれは本当に熱かった! 今まで生きてきた中で、これほどの熱さを味わった事がなかった。乾いた枝は良く燃えると言うが、本当だったんだな。身に沁みてわかったよ。  今にして思えば、あいつが言っ …

人類救済の薬

2019/05/11   -小説, 短編
 

「博士、うまくいきました!」  職員の一人が嬉々として叫んだ。私はすぐさま駆け寄り、彼女の目の前にあるモニターを凝視する。そこには、ウェルナー症候群の症状が見てとれる被験者が映っていた。 「おお……完 …

ある男のミッション

2019/04/30   -小説, 短編
 

 狭い……。ここはどうにも狭いな。窓がないから息苦しい。仕方が無い、しばらくの辛抱だ。もうすぐここから出られるはずだから。  しかしこのカプセルはよく出来ている。長い宇宙の旅を終えて、地球に無事に到着 …

いつかの花火大会

2019/03/22   -小説, 短編
 

 一日の仕事を終え、通い慣れた道を車で走っていると、微かに「ドン!」という音が聞こえた。少し遅れて遠くの空が光る。「花火か」ハンドルを握りながら一言呟いた。昨年はあいにくの雨で流れてしまったが、今年は …

夕陽の思い出

2018/08/14   -小説, 短編
 

さらさらと音を立てている川面には、心地良い風が吹いている。遠くに見える陸橋の向こうには、夕陽が今まさに沈もうとしていて、辺り一面をオレンジ色に変えていた。 「綺麗な夕陽、懐かしいな」 車を停めて窓を開 …

報われない恋

2018/08/13   -小説, 短編
 

「すぐ来てくれ」 先生から電話がかかってきた。 「わかりました。今すぐ行きます」 幸子は、食べかけの食器をテーブルに残したまま、パジャマにコートを羽織って外に飛び出した。先生が借りている仕事部屋までは …

あなたが好きな公園

2018/08/13   -小説, 短編
 

「待った?」 「いや、私も今来たところ」 「そうかい、じゃあ行こう」 小百合の手を取ってわかったんだ。それが嘘だって事が。 もう冬も近くて肌寒いこんな日に、長い時間こんな場所で待っていたから、小さな手 …

懐かしい後ろ姿

2018/08/12   -短編
 

夕暮れ時の最寄り駅は、学校帰りと仕事帰りの人たちでごった返していた。 あいにくの雨が降って、クリスマスにはまだ早いのに、待ち合わせのカップルなどもいたりした。 私は仕事を定時で終わり、「早く帰る」と約 …

海辺の少女

あらすじ 僕(慎吾)と百合は、実家が近所で保育園から高校までずっと同じだったが、今は故郷を出て横浜に住んでいる。 百合にとって僕は、兄のような弟のような身内のような存在で、何でも隠すことなく話してくれ …

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